[00:01.070]君の右手は頬を突いている

[00:07.701]僕は左手に温いマグカップ

[00:13.770]君の右眉は少し垂れている

[00:20.084]朝がこんなにも降った

[00:24.489]

[00:25.966]一つでいい

[00:27.601]散らぬ牡丹の一つでいい

[00:30.697]君の胸を打て

[00:32.937]心を忘れるほどの幸福を

[00:38.534]一つでいいんだ

[00:40.152]右も左もわからぬほどに手探りの夜の中を

[00:51.190]一人行くその静けさを

[00:57.548]その一つを教えられたなら

[01:03.698]

[01:04.227]君の左眉は少し垂れている

[01:10.807]上手く思い出せない

[01:13.838]僕にはわからないみたい

[01:16.946]君の右手にはいつか買った小説

[01:23.230]あれ、それって左手だっけ

[01:30.434]

[01:35.300]一つでいい

[01:37.057]夜の日差しの一つでいい

[01:40.143]君の胸を打つ、心を覗けるほどの感傷を

[01:47.888]一つでいいんだ

[01:49.550]夏に舞う雹のその中も手探りで行けることを

[02:00.798]君の目は閉じぬことを

[02:07.869]

[02:19.640]僕の身体から心を少しずつ剥がして

[02:27.504]君に渡してその全部をあげるから

[02:32.120]剣の柄からルビーをこの瞳からサファイアを

[02:39.136]鉛の心臓はただ傍に置いて

[02:46.463]

[02:47.856]一つでいい

[02:49.537]散らぬ牡丹の一つでいい

[02:52.732]君の胸を打て

[02:55.015]涙も忘れるほどの幸福を

[03:00.394]少しでいいんだ

[03:02.215]今日の小雨が止むための太陽を

[03:11.044]

[03:13.201]少しでいい

[03:14.858]君の世界に少しでいい僕の靴跡を

[03:20.273]わかるだろうか、君の幸福は

[03:25.690]一つじゃないんだ

[03:27.552]右も左もわからぬほどに手探りの夜の中を

[03:38.599]君が行く長いこれからを

[03:44.931]僕だけは笑わぬことを

[03:51.469]その一つを教えられたなら

[04:00.237]

[04:01.116]何を食べても味がしないんだ

[04:07.655]身体が消えてしまったようだ

[04:13.548]貴方の心と私の心が

[04:20.095]ずっと一つだと思ってたんだ

[04:25.939]